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[ましこのひとvol.18] 益子町で暮らす人に「ましこの暮らし」について聞く。
ビルマ汁の味を守る「田町なでしこ会」飯塚フミさんと村田裕子さんにお話しを伺いました。
ビルマ汁とは、トマト、ナス、インゲン、などの夏野菜に、豚肉とジャガイモ、唐辛子、カレー粉を合わせ、トマトの酸味とスパイスの辛味を効かせたスープ料理です。益子町の一部の地域では、夏の家庭料理の定番として食卓に並びます。
さらに、観光産業としてビルマ汁に着目した商工会青年部の働きかけにより、2014年に商標登録を取得。現在益子町内外約15店舗にて夏季限定メニューとして提供されています。
「ビルマで食べた味だから、”ビルマ汁”。」
飯塚フミさんの義父である故・飯塚潤一さんが、太平洋戦争に出征した際、戦地ビルマ(現ミャンマー)で食べたスープの味が忘れられず、終戦帰国後、当時の日本で手に入る材料を用いてスープを再現したことが始まりです。
ビルマ汁
Q.1 田町なでしこ会はどのような活動をしていますか?
村田さん:
田町なでしこ会は、いわば「ビルマ汁応援団」です。
土祭や益子夜市といった町のイベントや道の駅ましこ等で実演販売をしたり、ラーニングバケーションや町内の学校でビルマ汁の調理体験を行ったこともあります。5~6年前からは益子祇園祭の際に田町の町内会の皆さんにも振舞っています。
Q.2 田町なでしこ会をなぜ発足させようと思ったのか教えてください。
村田さん:
イベントでビルマ汁を200食分作ってほしいと声をかけてもらったことがきっかけでした。200食分を私たち2人で一度に作るのは無理なので、その時に結成したんです。
飯塚さん:
私が飯塚家へお嫁にきてから四十何年間欠かさず、毎年夏になるとビルマ汁を作り続けています。レシピには自信がありますし、50食分くらいなら私一人でも作れますが、何百食分となると大変です。田町のご近所のお母さん方が「フミさんに協力しましょう」と言ってくれました。
村田さん:
「せっかく田町で作られてるものだから、みんなで盛り上げようよ」とご近所で話し合って「なでしこ会」という名前を付けました。10年くらい前、W杯女子サッカー日本代表のなでしこJAPANにあやかって付けた名前なんです。
私が一応田町なでしこ会の会長ですが、ボスはフミさんです。現在、ご近所のお母さんたち約10名で活動しています。
ビルマ汁に関する新聞や雑誌記事のスクラップブックを見せていただきました。
益子町のローカルフードとして、メディアからの関心の高さがうかがえます。
Q.3 印象的なエピソードを教えてください。
飯塚さん:
益子町内の小中学生の給食にビルマ汁を毎年6月と9月に提供していただいています。
一度、町から招待されて給食センターで試食しましたが、給食用は唐辛子を入れず子供向けの味に仕上げてあって美味しいんですよ。
町内の中学校の支援学級の生徒のみなさんと調理実習を行ったこともあります。
生徒さんに、材料を切るところから教えて、トマトをつぶしたり、灰汁をとったり、みなさんと楽しく調理しました。さらに生徒さんが先生と一緒に私のお店に訪ねてきて、ビルマ汁の作り方のコツをインタビューしていったこともありました。
村田さん:
引っ込み思案の子も「やってみて」と言うと恥ずかしそうに頷いて、手伝ってくれたことが印象的でした。
私たちとの調理実習の後日、先生から「子どもたちだけでもう一度ビルマ汁を作りました。とても美味しく出来ました。」と連絡をいただきました。 支援学級の生徒の皆さんからも「お世話になりました。」と手書きの丁寧なお手紙をいただきました。
飯塚さん:
スカイツリーに行ったときは、とても大変だったのでよく覚えています。
益子町役場観光商工課の職員に依頼されて「とちまるショップ」で益子町のPRをかねたイベント出店をしたんです。その際、来店者にビルマ汁の試食を振舞いました。
ところが店内の調理スペースは、私たちのお尻がくっつきそうなくらい狭くて、小さな調理器が1台あるだけでした。用意していたビルマ汁は私たちの想定よりも早く無くなってしまったので、帰りにスカイツリーを観光する時間が出来たんですが、くたくたに疲れてしまってそれどころじゃありませんでした。
それでも多くのお客様がビルマ汁を食べて「美味しい、美味しい」と言ってくださったので、とても嬉しかったです。中にはおかわりを貰いに、わざわざ戻ってきてくれた高校生もいました。
ただ、益子町を知らない方が多く、「どこにあるの?」と言われてしまうことも多かったんです。
村田さん:
新幹線が止まる宇都宮市や、観光地の日光市や那須町は知名度が高いですが、益子町が一体どんな町なのか知らない人って多いみたいなんです。
実は、私も嫁いで来る前まで、益子町がどんな町か知りませんでした。
「益子は益子焼で有名だよ。」
そう聞いて「益子焼は一体どんな美味しい食べものなのかな?」と思っていました。名前から、「人形焼」や「おやき」のようなお菓子だと思っていたんです。益子焼が中に入っているという箱をお土産でもらった時、箱を振るとかたかたと音がしたので「なんだろう?」と不思議に思いました。中から湯呑が出てきたので、びっくりした思い出があります。
Q.4 ビルマ汁作りにおいて「こだわり」はありますか?
飯塚さん:
熱々のビルマ汁が美味しいですよ。夏の冷房で冷えた身体が温まりますし、夏バテ予防に最適です。
ビルマ汁はごはんでも、パンでも、うどんでも何に合わせても美味しいです。
私は、うどんのつけ汁にして食べるのが一番オススメです。隠し味としてしょうゆを少し垂らすと、スープの味が落ち着いてうどんによく合います。
スープはごくごく飲める、透き通ったさっぱりさらさらを目指して作ります。
味は昔ながらのシンプルな味付けで、塩と出汁、カレー粉のみです。
昔は手に入る香辛料なんて限られていて、家庭にはせいぜい胡椒やカレー粉くらいしかありませんでした。現代では色々な香辛料が手に入りますが、香辛料や調味料を複雑に入れてしまうと、ミネストローネみたくなってしまうし、味が微妙なんですよね。
ただし今は昔と異なり野菜の品種改良が進んでいて、野菜自体の味が甘すぎるため、その甘みがスープに出すぎてしまうんです。トマトの酸味を出したくても、今は出し辛いですね。ですので、当時覚えた味の再現はなかなか難しいです。代わりに塩を多めに入れて作るようにしています。
あとは、煮込みすぎないこともコツです。
どろどろとしたポタージュになってしまうとダメです。煮崩れをなるべく防ぐために、じゃがいもはメークインを使います。トマトも長く煮ると泡が出てきてしまうので、仕上げのカレー粉を入れる前にさっと煮る感じです。
なでしこ会でビルマ汁作るときは、大勢の方に提供するので、一度に作る量が半端じゃないんです。ですから、みんなで色々と研究を重ねました。
最初は、どのくらい材料が必要なのか分からなくて、「ナスは何個にする?70個にする?」などとみんなで話し合いました。大鍋だとじゃがいもが崩れやすいので、他の野菜よりも後から鍋に入れてみたり、野菜の切り方や剥き方なども工夫しました。
例えば飲食店で販売する場合は、採算に合うよう作る必要がありますが、私は「美味しく作れればいいや」と思っているので、大鍋から溢れそうになるくらい夏野菜をごろごろ入れて作っています。
村田さん:
ビルマ汁は、夏野菜が入ってれば入ってるほど美味しいです。
2012年ラーニングバケーション「土の恵み物語」において参加者向けビルマ汁講習会を開催。
Q.5 今後の活動目標・やってみたいことを教えてください。
飯塚さん:
給食にビルマ汁を出してもらって、益子町の子ども達に食べてもらいたいという夢が叶ったので、今度はママさん向けのビルマ汁講習会を開きたいですね。
あるお子さんが「給食で出たビルマ汁が美味しかったから、家でも作って」とお母さんにお願いしたところ「ごめんね、ママは作れないのよ」と言われたという話を聞きました。
レシピは簡単ですから、家庭でも気軽にお子さんに作ってもらいたいです。
村田さん:
なにより、この味を受け継いでもらいたいです。
Q.6 益子の好きなところ・良いと思うところはなんですか。
飯塚さん:
人も町もせかせかしてないところ。人情味があります。
村田さん:
人が優しい感じがします。益子町が好きな人が多いところも良いと思います。
また、ビルマ汁をはじめ、若い人たちから「地元のものだから盛り上げよう」という声が上がってきているところが良いですね。
「益子のビルマ汁」
ビルマ汁のレシピや飲食店情報について掲載しています。
もおかや
栃木県芳賀郡益子町大字益子1688
TEL 0285-72-2030
故・飯塚潤一さんから後を継ぎ、現在3代目の飯塚フミさんが営む呉服店です。