栃木県文化功労者に日下田正さん!
栃木県の文化の振興に著しく貢献した方を表彰する栃木県文化功労者に日下田正さんが選ばれ、その表彰式が11月14日(水)に行われました。
日下田さんは、江戸時代から続く紺屋(染物屋)の9代目のご当主で、型染め、布染などさまざまな染め方を実践されています。また、県内の高校で染織の教鞭をとるなど町内外で染織の普及啓発にも尽力されています。
日下田さんは「風合いや味わいをどう表現するか。まだ到達できていない」としながらも「私の仕事を見てくれた方、評価してくださる方がいた。それはうれしい」と受章を喜んでいました。
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(1)大塚町長(左)と日下田さん(右)
活動と特徴
日下田さんは、江戸時代寛政初期(寛政元年・1789年)創業といわれる紺屋の9代目。先代であり父の日下田博さんは、陶芸家濱田庄司の提唱する民藝運動に共鳴し、民藝作品の創出に取り組んだ染織家です。長男である正さんは、高校卒業後、柳悦孝先生(女子美術大学教授)のもとに弟子入りし、伝統的な草木染めや織の技法を習得します。修業後は父博さんより日下田家の藍染め技術を習得し、後に日下田紺屋の当主として草木染めと織物を手がけます。
藍染めは、天然灰汁発酵だてと自家製の蓼藍による生葉染によるもので、型染め、布染、糸染、絞り染、絣染など幅広い技法を駆使して染めています。その他の草木染については、伝統的な茜や紫根渋木などの数多くの四季折々の植物染料を駆使しながら多様な色を作り出しています。
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(2)絞り染め (3)糸染め
織については、高織や地機などを用い、日下田さんが自ら設計した図案に基づく手織りを手がけています。日下田さんは、素材を江戸時代以来の木綿にこだわっています。かつて真岡木綿で用いられた和綿や独特な茶色の色合いを呈する茶綿を自家栽培し、それらの材料を紡ぎ、染め、織ることで伝統の復活を手がけるとともに、新しい染色の展開を図っているのです。
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(4)機織りの様子
また、仕事場は茅葺き屋根で居間と一緒になっている「鍵屋式」住居で、藍染め甕場とともに栃木県指定有形文化財に指定されています。日下田さんご本人も草木染の県指定無形文化財保持者に指定されています。
主な功績
- 益子町文化財審議委員を長らく務め、現在会長を9年務めている。
- 「下野手仕事会」では5代目会長を務め、伝統的手仕事の保存伝承に力を注いでいる。
- 県内の高校において20年以上染織の授業を担当している。
- 芳賀青年の家や井頭公園緑の相談所等県内の各施設で草木染めの体験授業の講師を勤めている。
- 平成4年、栃木県立なす風土記の丘資料館開業時に、展示資料として調庸布の復元を行う。
- 平成21年、栃木県の友好交流事業に出席するため知事とともにフランス・ヴォクリューズ県を訪問し草木染作品の紹介をする。
- 平成29年、伝統文化ポーラ賞を受賞する。
関連文化財
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