浄土総系図
じょうどそうけいず浄土総系図
県指定(昭和52年年2月15日指定)
- 種類
- 書籍
- 時代
- 江戸時代
西流する大羽川は小貝川に合流する手前、大沢と呼ばれる肥沃な低地帯を形成している。この大羽川左岸、大沢の地に所在するのが名刹円通寺である。円通寺は応永9年(1402)良栄上人開基の浄土宗名越派の総本山であり、学問寺としても栄えた。すなわち、上人は名越派の教義を講義・布教するために、大沢文庫(図書館)を設置した。このため多くの学僧が円通寺で学ぶことになる。
1巻目(写真上)は、浄土宗の系図を鎮西派名越流を中心に編述したもので、表書きに「浄土惣系圖 重箱入也」とあり、奥書には「時元禄十一寅年七月晦日 良因拝写」とある。冒頭に印度、中国、日本の三国の祖師たちの教義を列記してある。源空上人(法然上人)のそれはやや詳しい。次に法然門下の上人たちを列挙してある。そしてその後に聖光上人の鎮西派を筆頭にして系図が記載されている。三祖良忠門下では礼阿がやや詳しく6人の弟子をあげ、次に道光は3人の弟子をあげている。寂恵、慈心、聖真に至ってはわずかに当人の名前だけである。それに反して良弁の門流は良慶、良山、良天と実に詳細にわたって記してあり、特に良栄の門流が最も詳細である。鎮西派の後に善恵上人、隆寛上人、成覚上人、法蓮上人、正信上人の順にそれぞれの系図が記載されている。そして最後に踊念佛の門流と法然上人の在家弟子の系譜が付記されている。この系図は、円通寺の学僧によって編述されたものを元禄11年(1698)に良因が写したものである。もう1巻(写真下)も浄土宗の系図ではあるが、内容は1巻目とは多少異なる。表書きに「浄土惣系圖 圓通寺不出 主良住」とあり奥書には「永正三年丙寅三月九日 融舜示之(花押)―浄土宗伝方空仰性秀」とある。寺伝によれば、この巻は江戸初期に良定が京都で入手し円通寺に寄進したものという。
参考:『益子町の文化財』
- 所在地
- 大字大沢1770
- 所有者
- 円通寺