○益子町の里山風景と太陽光発電設備設置事業との調和に関する条例
令和2年12月4日
条例第28号
(目的)
第1条 この条例は、益子町の未来につなげる里山風景と太陽光発電設備(以下「発電設備」という。)を設置する事業との調和を図るために必要な事項を定め、その適正な実施のための助言、指導を行うことにより、事業区域及びその周辺の地域における良好な景観の形成、生活環境の保全及び災害の防止に寄与することを目的とする。
(1) 発電設備 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第3項の再生可能エネルギー発電設備であって、同条第4項第1号の太陽光を再生可能エネルギー源とするもの(建築物の屋根、屋上又は壁面に設置するもの、送電に係る電柱等を除く。)をいう。
(2) 設置事業 発電設備を設置する事業又は発電設備を設置するために行う樹木等の伐採、土地の造成等による区画形質の変更を行う事業をいう。
(3) 設置事業者 設置事業を計画し、これを実施する者をいう。
(4) 発電事業 発電設備を用いて発電を行う事業をいう。
(5) 発電事業者 発電事業を行う者をいう。
(6) 事業区域 設置事業及び発電事業を行う一団の土地(発電設備に附属する管理施設、変電施設に係る土地を含む。)であって、柵塀等の工作物の設置その他の方法により当該土地以外の土地と区別され、継続的又は一体的に事業を行う区域をいう。
(7) 近隣関係者等 次に掲げる者をいう。
ア 事業区域の境界から規則で定める範囲の区域に居住している者
イ 事業区域の境界から規則で定める範囲の区域に土地又は建築物を所有している者
ウ 設置事業及び発電事業において影響を受けることが懸念される農林水産業その他の事業を営む者
エ 事業区域の境界から規則で定める範囲を含む自治会の区域に居住する者
(適用範囲)
第3条 この条例の規定は、発電出力10キロワット以上の発電設備について適用する。
(町の責務)
第4条 町は、第1条の目的を達成するため、この条例の適正かつ円滑な運用に努め、そのために必要な措置を講じなければならない。
(設置事業者及び発電事業者の責務)
第5条 設置事業者及び発電事業者は、設置事業及び発電事業の実施に当たり、関係法令及びこの条例を遵守し、本町における生活環境の保全及び自然環境の保護に十分配慮するとともに、災害等が発生する事態が生じることのないよう必要な措置を講じなければならない。
2 設置事業者及び発電事業者は、近隣関係者等の意見を聴き、その意見を尊重し、常に近隣関係者等と良好な関係を保つよう努めなければならない。
(設置事業者の責務)
第6条 設置事業者は、前条に規定するもののほか、発電設備の災害時及び廃止後の措置に充てる費用について計画的に積立てを行わなければならない。
2 設置事業者は、第7条各号のいずれかに該当する区域では設置事業を実施しないよう努めなければならない。
3 設置事業者は、近隣関係者等に対し、当該発電設備の設置(増設を含む。以下この項において同じ。)及び運用に関する理解を得られるよう、設置を計画している発電設備について説明を行わなければならない。
(設置抑制区域)
第7条 町長は、次に掲げる区域に該当すると認めるときは、本町の自然環境、景観及び安全安心な生活環境の保全のため、発電設備の設置事業を行わないよう設置事業者に協力を求めるものとする。
(1) 法令等により、自然環境の保全区域として指定されている区域
(2) 土砂災害その他自然災害の発生が危惧される区域
(3) 歴史的又は郷土的な特色を有している区域
(4) 本町を象徴する優れた景観として、良好な状態が保たれている区域
2 前項の設置抑制区域は、規則で定める。
(協議等)
第8条 設置事業者は、発電設備を設置しようとするときは、あらかじめ規則で定める計画書を提出した上で、町長と協議をしなければならない。
2 前項の計画書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
(1) 法令等による許可又は認可を受けている場合は、許可又は認可の内容を証明する書類の写し(申請中の場合は、申請を受付したことを証明する書類の写し)
(2) 近隣関係者等に対し設置事業の内容等の説明を行った旨の報告書
(3) 前2号に掲げるもののほか、町長が必要と認める書類
(協議終了の通知)
第9条 町長は、前条第1項の協議を終了したときは、設置事業者に当該協議を終了した旨を通知するものとする。
2 町長は、必要に応じて、前項の規定による通知に意見を付すものとする。
3 設置事業者は、第1項の規定による通知を受けた後でなければ設置事業に着手してはならない。
(協定の締結)
第10条 町長は、前条第1項の規定による通知をしたときは、設置事業者と発電設備の運用並びに災害時及び廃止後の措置に関する協定を締結するものとする。
2 設置事業者は、前項の協定の締結に応じなければならない。
(工事の着手等)
第11条 設置事業者は、第9条第1項の規定による通知を受けた発電設備の設置に係る工事に着手したときは、規則で定めるところにより、その旨を町長に届け出なければならない。当該発電設備の設置に係る工事を中断し、再開し、又は完了したときも同様とする。
(運用の開始等)
第12条 発電事業者は、第9条第1項の規定による通知を受けた発電設備の運用を開始するときは、規則で定めるところにより、その旨を町長に届け出なければならない。当該発電設備の運用を停止し、再開し、又は廃止するときも同様とする。
(発電設備等の適正管理)
第13条 発電事業者は、当該発電事業を実施している間、自然環境等を損ない、又は災害等が発生する事態が生ずることのないよう当該事業区域及び使用する発電設備を適正に管理しなければならない。
(異常発生時の対応)
第14条 発電事業者は、事業区域及び使用する発電設備に異常が生じたときは、速やかに現地を確認し、早急に必要な措置を講じるとともに、当該異常について事業区域の周辺に居住する住民に周知し、及び町長に通報しなければならない。ただし、軽微な異常のときは、この限りでない。
2 町長は、発電事業により、自然環境等を損ない、又は災害等が発生する事態が生ずるおそれがあると認めるときは、当該発電事業者に対し、当該事態が生ずることを防止するために必要な措置を講ずることを求めることができる。
(協議内容の変更)
第15条 設置事業者は、第8条第1項の協議に係る内容を変更しようとするときは、書面により改めて町長と協議をしなければならない。ただし、変更しようとする内容が規則に定める軽微なものであるときは、この限りでない。
2 事業者は、前項本文の協議を行う前に近隣関係者等に対して、変更しようとする内容等の説明を行わなければならない。
(地位の承継等)
第16条 設置事業者及び発電事業者の地位を承継した者は、規則で定めるところにより、その旨を町長に届け出なければならない。
(発電事業終了時の適正処分等)
第17条 発電事業者は、発電事業を終了するときは、発電設備その他当該発電事業に用いた設備等を速やかに撤去し、適正に処分しなければならない。
(報告の徴収)
第18条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、発電事業者に対して、規則で定めるところにより、発電設備の状況その他必要な事項に関し報告を求めることができる。
2 前項の規定により報告を求められたものは、速やかに町長に報告しなければならない。
(発電設備に関する情報の掲示)
第19条 設置事業者は、設置事業を完了したときは、設置した発電設備に関する情報を近隣関係者等に周知するため、当該情報を事業区域内の見やすい場所に掲示しなければならない。
(立入検査等)
第20条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、当該職員に、発電設備に関係のある場所に立ち入り、発電設備の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係人に質問させること(以下この条において「立入検査」という。)ができる。
2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人から請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(指導又は助言)
第21条 町長は、この条例の施行上必要があると認めるときは、設置事業者又は発電事業者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。
(勧告及び公表)
第22条 町長は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。
(2) 第9条第1項の規定による通知を受ける前に設置事業に着手した者
(4) 第18条第2項の規定による報告を正当な理由なく拒み、又は虚偽の報告をした者
(6) 正当な理由なく前条の規定による指導に従わない者
2 町長は、前項の規定による勧告を受けたものが正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該者の氏名及び住所(法人その他団体にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)並びに当該勧告の内容を公表することができる。
3 町長は、前項の規定による公表を行う場合は、あらかじめ事業者に対して、この理由を通知し意見を述べる機会を与えなければならない。
(国又は県への報告)
第23条 町長は、前条の公表後、公表内容及び公表の事実を国又は県へ報告することができる。
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和3年1月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例は、施行日以降に着手する設置事業から適用する。